うつ当事者をサポートする方にお話を聞かせていただく「うつサポ特集取材」。
今回取材させていただくのは函館在住のメムさんと、その夫さんのお二人です。
メムさんはアスペルガー症候群やうつ病と向き合いながら、同じくうつ病である夫さんと
互いに支えあいながら暮らしている主婦の方です。メムさんは、これまで様々なご経験を
されてこられたことを、私にお話ししてくれました。
パーソナリティやご病気のため、社会生活に馴染めなかったこと。
人生に悩んでいた夫さんを説得し、関東地方から函館に移住させたこと。
神様と話ができる力を持っていて、それには函館の街が重要なファクターであること。
今回の記事は、そんなメムさんご夫婦と函館の街を散策している様子を
想像しながら読んでいただければ、と思います。
写真は今回も、豊嶋希沙さんにお願いいたしました。
◆①:はるばるきたぜ◆
――今日は、メムさんの気分にあわせて函館を散歩しながら、「考えない、感じることについて」を一緒に考えていただければと思います。なんだかややこしいですが、よろしくお願いいたします。
メムさん
はいー、よろしくお願いします。
夫さん
よろしくお願いします。
――テーマについては後で触れますので、いったん忘れていただいて。とりあえず函館観光を満喫しましょう。……最初は、どこへ向かいましょうか?
メムさん
まずは、この先の赤レンガ倉庫にジェラート屋さんがあるんで、そこへ向かいましょっか。
けっこう食べる方だって聞いてたんで。いろいろ行こうと思ってます。
――はい、私、食べるのが大好きです。……あ。すごい。人力車が走っています。
メムさん
はい、街を案内してくれるんですよ。
――外国人の観光客の方も多いですね……あ、海だ。
メムさん
はい。すぐそこが海なんです。
――今日は霧で視界が悪くて、すこし残念です。

メムさん
そうですねぇ。七月の函館は霧が出ることが多いんです。
でも、晴れてきてるみたいですね。
――今朝は、函館行きの飛行機で『霧が濃すぎて飛行機が着陸できずに引き返すかもしれない』とアナウンスされて、生きた心地がしませんでした……
1ヶ月前から函館グルメを楽しみにしてたので、たどり着けて本当に運がよかったです。
メムさん
それはよかったです。(笑)ジェラート屋さんの奥に、
おせんべ屋さんもあるんで、今日はいろいろ食べ歩きしましょっか。
――あ、ここが赤レンガ倉庫。異国情緒のある建物です。……こちらが、おっしゃっていたジェラート屋さんですね。いろんな味があるようです。


メムさん
えだまめとか、とうもろこしとか、意外と、野菜系がおいしいんですよ。
――なるほど……でも僕は、ブルーベリーレアチーズ味にします。
メムさん
じゃあ私は、とうもろこしと、えだまめと、かぼちゃ。……ひとくち、食べてみます?

――それじゃあ、お言葉に甘えて。……あー、美味しい。味が想像できなくて無難なのを頼んでしまいました。
メムさん
函館って、スイーツが美味しいんですよねぇ。
――この建物は、お土産屋さんも入っているんですね。風情があって、いいですね。
メムさん
そこで、座って食べながら話しますか?
――はい、そうしましょうか。