【特集取材】うつサポートは「搾取」か、「献身」か? ③

◆③:もうそろそろ離婚かな◆



――ここですね。一気にゼロになっています。この時は、幸せの絶頂から……




妻さん

もう、どーん。「おかしいな、できひんな」……どーん、です。

多嚢胞性卵巣症候群と、低体温症って診断を受けて。

血液検査をして、ホルモン治療と、排卵誘発剤とかをはじめだして。


まぁまぁ、苦しんでるのは私だけで、この人はノホホンと

してましたけど、それはもう男と女の違いですね。

この人がもし子供好きで、どうしてもほしいんやったら、

一緒に苦しんでくれたんやと思うんですけど。


治療初期のころに、「夫婦の体について知る必要があるので、旦那さんの体も

調べさせてください。精子持ってきてください」て言われたんですけど、

旦那は「嫌」って言ってたんで。


夫さん

…………



――そこから、35まで幸せ度が回復してきます。



妻さん

それまで近畿に住んでたのが、中部地方に主人が転勤になって、

一緒についてって。不妊治療を、権威ある病院でできるようになってね。



――治療中は、どのような生活だったのでしょうか。



妻さん

見る間にぶくぶく太っていったかな、ホルモン治療で。

フェイスムーンと体重増加ですよね。一気に30キロ太ったんですよ。


1ヶ月に6キロとか。ぼーんぼーんて。普通に食べててもね。

子供ができひんからストレス食いするじゃないですか。

……3年くらいは、不妊治療しながら専業主婦さしてもらったかな?


夫さん

うん。


妻さん

最終的に、医者から「体外受精しかない」と言われたんです。

でも主人は、自然にできひんのならしょうがない、という感じで。

医者からは「不妊治療というものは、夫婦で協力しあわないと絶対に無理」

と言われて。お金もなかったし、それで断念しました。


……そこから、おかしくなったんやったっけ、

パニック障害で連れて行かれて、クリニックに。


夫さん

うーん、おかしかったからね……


妻さん

なにがなんでも、子供が欲しかったから。



――精神的に追い込まれて、体重も増えて、2008年に再び、ガクッと落ちてしまった。



妻さん

いまでこそ不妊治療って、もてはやされてる、っていうか、

メディアに登場するけど、この頃はまだ恥ずかしいというか、

自然にできないことが恥ずかしい、という時代でもあったので。


で、パニックがひどくなって、自殺防止のために、

はじめは寝込む日々やってんな。すごいきつい薬飲まされて、

睡眠薬とか。発作的に道路に飛び出したりとか、高いとこから飛び降りる

可能性があるから、っていう。で、ひたすら24時間寝かされて。



――なるほど……その後、1年間でだいぶ体調が、戻ったのでしょうか。2010年で55まで引きあがっています。



妻さん

これはね、近畿地方の地元に帰ったんです。

この人が、リストラというか、リーマンショックの影響で仕事がひと段落してて。

で、私が元気になるにつれてこの人が落ちてき始めて。

夫が体調悪いって言い出して、おかしいな、とおもったら胆石で手術になって。



――妻さんが落ち着いてきたところで、夫さんの体調が徐々に悪化してきたのですね……



妻さん

それで、体を動かす仕事をしたいと思って4年間、

農作業で働くようになって。草刈り、畑ならし、収穫とか。

そこでかなり元気になったんですよ、いったん薬は止まったんです。

朝日を浴びる生活ができたのが、よかったみたいで。



――安定していたところが、2014年2015年にかけてガクッと落ちてしまいます。これは、夫さんが本格的に体調を崩されたことが理由でしょうか。



妻さん

30代後半の時に、とうとうこの人が働けないというのがわかって。

本格的なうつのサポートが始まったのは、この時期から。

主人を入院さすまではやっぱり頑張らな、と思って。


でも、いままでずーっと専業プラス、パートの仕事やったんで、

就職しようにも年齢制限で引っかかっちゃって。パートならいくらでもあるけど、

正社員はダメって言われて。で、リラクゼーション業界の

ボディケアセラピストならできる、って聞いたんで。



――そこなら、経験がなくても正社員として?



妻さん

正社員というよりかは、業務委託になるので、自分が社長になるというか。

もともとボディケアが趣味でもあったし、デビューしてみようか、と。


20年くらい前の話ですが、私には、てんかん持ちの躁鬱病の身内がいてて、

図書館で調べて、見よう見まねでボディケアをしてた時期がありまして。

ボディケアをして30分後に眠ったんですよね。

さっきまで病気で泣きじゃくってたのに。

その時に、「精神疾患の人には癒しが必要なんだな」と感じて。


それからずっと、趣味としてボディケアを続けてきてて、

それが頭に残ってたので、主人が働けなくなり、職安で正社員の仕事が

見つからなかった時に思いきって、やってみようと。


でも、いざやってみると30後半で、覚えも悪くて。

この仕事って、雑務が多いんですよ。それが大変でしたね。

でも、いつも心を込めてお客様にボディケアをさせてもらってます。


……それからしばらく私が世帯主で、夫を扶養に入れてたのが2年間くらいかな。

その間、この人が仕事を探しつつ、みたいな感じ。でもその2年はまぁ、

しんどかったですね。私も体調が悪い上に、ストレスがかかる仕事なんで。


その間、この人が2年間やったかな、家で寝たきりで。


夫さん

寝たきりでは、ないよ……


妻さん

まあ、療養やね。

でも私が帰ってきたら寝てる、っていう状態がずっと続いてた。

お風呂も入ってくれなくなって、入れささなあかんと、追い立てるようになって。

こっから、オカンになってしまってる状態ですよね。


そのころの主人は、私から見たら、人を殺しかねへん、っていう

目のいきかたをしてて、暴れたんですよね。

物投げたり、力づくで私をどうにかしようとしたり。


私がノイローゼになってもうあかん、と。親からの借金も返せないから、

もうそろそろ離婚かな、っていうところまで落ちましたね。




その④へ、つづきます。



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