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【特集取材】うつサポートは「搾取」か、「献身」か? ②


◆②:苦しくても、楽しかった◆




――東京までお越しいただいて、本当にありがとうございます。昨日は浅草観光をされていたとお聞きしましたが、どこへ行かれたのでしょうか?



妻さん

浅草で買い物して……なんやったっけ、演芸ホール?


夫さん

うん、浅草演芸ホール。



――漫才とか、落語とか?



夫さん

落語と、あと、ぴろき が大好きなので。



――ぴろき、ですか?



妻さん

知らへんやろなぁ。


夫さん

またググっといてください。天才的自虐ネタの、ウクレレ漫談家。



――あ。以前、深夜番組で松本人志さんとのインタビューを見たような気が。哀愁がある感じの漫談家さんですよね。



夫さん

そうそうそうそう。すごい、切なすぎるネタで。(笑)



――もの悲しいけど、一周して笑えるような。



夫さん

そうそうそう。(笑)



――浅草観光といえば定番の、雷門には行かれたんでしょうか?



夫さん

下をくぐったくらい、やね。


妻さん

河童橋に行きたくて。

時間制限があったから、行きたいとこぜんぶピックアップして、

ザーッとまわって。所要時間、何時間やったかな?


夫さん

んー。2、3時間?



――河童橋ではやっぱり、食器を見られたんですか?



妻さん

そですね、わっぱの弁当箱欲しかったんで、ふたりぶん。

あと自分の趣味ですね、食品サンプルの、可愛らしいやつ。



――私も河童橋には、友人と食品サンプルづくりの体験に行ったことあります。……東京観光は、これまでも?



妻さん

ふたりで来たのは4年ぶりかな。その時は別行動、多かったけどね。

夫は浅草演芸場、私は原宿で別れて。



――浅草と原宿は、 全然違いますね。(笑)



妻さん

お互いついて歩くのはやめようって。趣味が違いすぎるので。(笑)



――おふたりとも、ご旅行はお好きなんですか?



妻さん

病気発症してからしてないね、生活が第一になったので。

前はよくお盆休みやったりとかに行ってたんですけど……

それができなくなって、なので4年ぶりですね。


夫さん

前の浅草が4年ぶりということ?……歳とるわけだ。


妻さん

若い頃はしょっちゅう……


夫さん

休みのたびに外国行った。もともと、旅行は好きですね。


妻さん

私はどっちかっていうと、好きになった方ですね。

この人が旅行好きで、連れてってもらうようになって。


夫さん

韓国も行ったし、ハワイも……



――新婚旅行も海外ですか?



妻さん

それは、伊勢やったね。で、やっぱり海外行っときゃよかった!

て思って。8年後やったっけ、けっきょくハワイ行ったん。


夫さん

うん、たぶん。なんか、友達の夫婦と、ハワイに行こうじゃないか!

というのが、ぽこっと話が出て来て、突然ね。


妻さん

それから必死にお金貯めたね。

でも、結局ハワイもあんま、たいしたことないんでね。

日本人ばっかりやし、安いのはぜんぶメイド イン チャイナやしね。


夫さん

お花の首飾りの、レイに、メイド イン チャイナって書いてて。(笑)



――(笑)今回は4年ぶりのご旅行にもかかわらず、取材を受けていただいて、本当にありがとうございます。



妻さん&夫さん

いえいえ……


――今回、取材をする上で、妻さんからいろいろとご夫婦のことについてお話を聞かせていただいて、なんと波乱万丈な人生なんだと衝撃を受けました。もう、映画化したり、講演したりしてもよいのではないかとさえ思うほどで。


そんなお二人に取材するにあたって、テーマをどうするかと考えまして、「うつサポは、搾取か、献身か?」ということにしようと決めました。


その考えを深めていくために、ひとつの装置として、今回お二人に、ご自身と、パートナーの人生を振り返っていただいて、どれくらい幸せだったのかをグラフに書いてきていただきました。




――それが、こちらです。妻さんと夫さんにはそれぞれ、2枚のグラフを書いていただきました。


1枚目は、<ご自身の人生についてのグラフ>。


2枚目は、<パートナーがどれくらい幸せだったのかを予想して書いてもらったグラフ>。


「ご自身にとって、パートナーにとっての幸せとはなんなのか」について振り返ってもらうことで、妻さんが抱えている「搾取されている」という感情について、考えを深め、

新たな気づきを得られるのではないか……と考えたんです。


……趣旨はなんとなく、理解していただけてますでしょうか?とりあえず、

進んでいけば徐々に理解していただけると思います。ややこしくて、すいません。



妻さん

ええ、大丈夫ですよ。


夫さん

はい、はい。



――ありがとうございます。それでは早速、妻さんの幸せグラフから、見ていきたいと思います。


お二人には、基準として<ご結婚された時点の幸せ度>だけをお互いに告知した状態で記入していただき、それ以降は、互いに伏せた状態で記入していただきました。


ですので、夫さんはこれが妻さんの幸せグラフを見る初めてのタイミングになるかと思いますが、最初はしばらく、聞きに徹していただけますと。



夫さん

そうね、はい。わかりました。



――それでは、こちらが妻さんの幸せグラフですね。私の方で、見やすいように加工させていただきました。





夫さん

ほぉ……



――新婚時代が、最高の100になっています。



妻さん

そうやね……まぁとりあえず結婚できたのは嬉しかったのと、

もともと早く結婚したい、家庭に入りたい人やったのね、私が。

早く結婚したら、早く子供もできるし。お母ちゃんになるのが夢やったんです。



――事前取材で話題に出たのですが、最初は妻さんの方が、すごく夫さんに惚れていた、と……



夫さん

そうそうそうそう。(笑)


妻さん

そうそうそう。(笑)それは間違いないです。

明るくて、楽しくて。今よりも細かったんですよ。


夫さん

そっちかよぉ。


妻さん

当時人気の、若手お笑い芸人にすごくよく似てて、

デートしてたら、すれ違った人に振り返られたりして。(笑)

当時は携帯も持ち始めて、メールやったよね。

メールアドレス、私から教えたんやっけ?


夫さん

ちがうちがうちがう、電話番号や最初。

その日のうちから、かかってきて。


妻さん

そやったっけ。あんまり覚えてない。

で、まぁ、弱みにつけこんだというか。(笑)



――弱みですか?



妻さん

この方が失恋いたしまして。そこに、つけこんだというか……(笑)

4年友達で、2年片思いやって。3年目でこの人が失恋しやはったのかな?

ほんで、あからさまにもう、見るからに私が、

好き好きオーラが出てるから、この人はすごい鈍いんですけど、

わかるくらい出してた、っていう。



――なるほど。(笑)出会いのきっかけは、何だったんでしょうか?



妻さん

姉の紹介です。お姉ちゃんが交友関係が広い人で、

私がどっちかというとインドア派で、家でずっとお笑い見てるような人で。

お姉ちゃんが、おもろい、芸人みたいな人がいるから一回おうてみたら、

みたいな感じで。あんた芸人好きやろ、と。(笑)



――関西は面白い人って、すごくモテますよね。



妻さん

付き合いたい人の第一条件ですね。

今はちょっと変わりましたよ、イケメンやったらそれでいいっていう

人も増えてきました、面白くなくてもね。





――奥さんが夫さんにアプローチして、見事に射止めた、と。ご結婚されてからの3年間のところに、コメントで「苦しくても楽しかった」とあります。



妻さん

楽しいは楽しかったね。物価が安かったし。

時給650円で、週6日4〜5時間働いて。しんどかったけど、

帰ったら家、切りもりできるし。よう友達、家に呼んでたもんね。


夫さん

そうやったね。


妻さん

そういうのが好きだったん。でも、不妊症ってわかってから、

家に呼べなくなったけどね。もう自分のことが精一杯になった。



 

その③へ、つづきます。



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