「マイノリティと非マイノリティが相互理解できるCafe」で食べる、タルトの味は。⑥

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前回までの記事は、こちら。

①:はじめてもらったメッセージ

②:喜んでくれる人がいる

③:支えられ、励まされ、託されている

④:理解してもらうこと、意見を聞くこと、頼ること

⑤:フルーツハードカレーと、ステンドグラスのゼリータルト



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◆⑥:Cafe メム が<閉じない>ために◆





ーー美味しくて楽しいカレーとスイーツ、本当にありがとうございました。



いえいえ。喜んでいただけたら、嬉しいです!



ーーもう少しだけ、お話を聞かせていただければと思います。



はい。どうぞ。



ーー取材前に、スカイプでお話を聞かせていただいたときに、本当に身につまされるように感じたお話があって。和泉さんが企業で働かれていた頃に、

「なんでこの人は言ってもわからないんだろう」と思う人が、何人かおられた、と……



そうですね、やっぱり、あの……

自分はマニュアル化された組織で社員教育を担当していた時期があって、

同じように伝えたら、まぁみんな同じように理解するであろうという思い込みがあって。

その頃は、それこそ私は、いろんな人のパーソナリティを認めてなかったと思うんです。


その頃に受けていた社員への教育で、「教育は科学だ」っていう言葉があって。

それにとらわれていたっていうのも、良くないと思う。

ある意味正解かもしれないけど、ちょっと危険な思想だったのかなって。

当時の私は、マニュアル通りに教えてもうまく仕事ができない人たちに、

「不真面目なのか、それとも私のことを舐めてるのか」とか、

最初はそういう感じの向き合い方で。


すべて同じようにやれば、すべて同じように育つっていう考え方……

うん……でも、決して人はそうではなかった。

それに疑問を感じ続けていて、数年後に、たまたま立ち読みした本屋で、

発達障害っていう概念を私は知ったんです。


本当にその時のことをすごくよく覚えているのですが、

全身の血がざっと下がってくるのを感じたんですね。

「私が関わってた人達ってこれだったんじゃないか」って。

私はその方達に対して、いけない言葉をなげかけていたり、

傷つけたりとか、してたんじゃないのか。

……そう思ったのが、今回の起業の出発点でもあります。



ーー私自身、目の前に周囲と同じようにできない人がいたとして、

そのときに、できないんだということを受け入れられなくて、イライラしたりとか、

自分のやり方を押し付けたりとか、正直、してしまいます。それから時間が過ぎて、

ある日、本を読んだりして、はっ、と気づく。当事者が目の前にいても、気づかない。

目の前で悔しい、辛い思いをしている人がいるのに、気づけない。

そんな自分自身に対して、すごく愚かだなと思うことがあります。



でも、きっとそれも、無駄な期間じゃなかったと思いますよ。

そういう期間があったからこそ、余計に強く、

「いまできることはなんだろう」って思うんだと、思います。


そういう私がここからできることは、

「自分と同じ思いをする人を少しでも減らすことなのかな」って、思います。


……誤解をまねく言い方かもしれないんですけど、

当事者の思いは、当事者にしかわからないと思うんです。人それぞれだから。

だから最終的には、その人の問題はその人が解決するしかないんだろうと思うんです。


でも、だからと言って周りは黙って見ていたらいいかというと、そうではなくて。

なにかのヒントを与えたりとか、発してる信号に対して答えたりとか、

そういうことはできると思うんです。

それに、すっごく難しいけれども、当事者自身も

セルフマネジメントは、必要なのかなと。


……それからやっぱり、普段からのコミュニケーションが

大事なのかなって思いますよね。とてもいい出せる環境ではなかったりとか、

きっとそういうことなんだと思うので。やっぱり、家庭でも職場でも、

お互いをさらけ出せる環境づくりが大事なのかなって。


みんないまってやっぱり、自分を出すこと、怖いじゃないですか。

そこにね、なんか。お互いを、怖がらないでほしいというか。



ーーそういった環境がつくれたら、本当にいいなと思いますが……

すごく難しいと感じることも多いです。



うつをサポートしてる側だって、しんどい時ってあると思うんですよ。

それもやっぱり、あの、相手を追い詰めない程度に、うまく出せればいいですよね……

うん……難しいけど。難しいけど、やっぱり本当の信頼関係って

そういうところじゃないかなって。強がっちゃっても難しいのかなって。


それこそ私は、やっぱりちょっと職場で強がっちゃったからこそ、

ある日ガタンときちゃうとか、そういうことを経験したので。



ーー<強くあること>って、人は学校とか社会とか、いろんな場面で学んでいると

思うんです。でも、<弱くあること>は、誰も教えてくれない。自分の中に収めることが

できない、そんなふうに感じます。弱さは、無いものとして生きないといけない、それが、間違っているのかな、と思います。



なんか別に、弱くていいと思うし、弱いって言っちゃっていいと思うし。

SNSとかをやっていると、うつとか発達障害の人はすぐそれを免罪符にする、とか。


実際に私もそう言われたことがあるんですけど、「むしろそれの何がわるい」

って思うんですよ。いいじゃん、うつなんだから、うつって言わせてくれよ、と。



ーーたとえば、両足を骨折している人に、がんばれって誰も言わないと思うんです。

無理やり動かしたりすれば、余計に悪くなると、誰でもわかるはずです。ただ、うつ病や

精神疾患の人に対しては、もっとがんばれとか、なまけてるんだろうとか、まずそう感じてしまう。



病いをすべての言い訳にしてしまうと、話は違ってくるかと思うんですけど、

たまに言う分には、「そうだよね」って。「うつなんだもんね」って。

私は、弱さを受け止められる人の方が、かっこいいと思います。



ーーCafe メム の、「マイノリティと非マイノリティが相互理解し合えるサードプレイス」というのは、私もそうですし、多くの人が共感するコンセプトだと思います。

ただ、現実には、<当事者だけの閉じたコミュニティ>になりがちではないか、

とも思うんです。Cafe メムが<閉じない>ためには、何が大事になると思いますか。



例えば、ぜんぜん病気とかと関係の無いイベントとかもやっていったり、

地域の人が気軽に来てくださるところにも、していきたいです。



ーー確かに。楽しい音楽が鳴っていて、美味しい料理があって。

それはみんなで楽しむことができることだし、他人だと思っていた人と共感が始まる、

きっかけになると思います。



それから、例えば「Cafe メム がこの地域にあってほしくない」というくらい、

私と反対の意見を持った人がいたとしても、その方と対話をしていきたいですね。



ーー和泉さん自身が、あらゆる価値観を持った人と対話を続けていくことで、

Cafe メム が開かれた場であり続けることになると。



そうですね。……ありがたいことに、このところ人が人を介して、

全然知らない方から連絡をいただいたりして、

お話ししたいです、って言われることがすごく多いんですよ。


可能な限りは出向いて、直接相手のお顔を見てお話しして、

そうすることでお互いに初めて伝わること、共感すること、

わかってもらえることが、たくさんある。

対話をすることが大切なんだなって、すごく実感しています。



ーー直接会って、対話すること。本当にシンプルですけど、大切なことですよね。

インターネットが普及している現代こそ、見失いがちかもしれない。



そうですね。対話するためにも、集える場所が必要なのかな、って。



ーー今日は色々と質問に答えていただいたり、美味しお料理をご馳走していただいて、

ありがとうございました。最後に、Cafe メム に行ってみたいと思っておられる皆さんへ、意気込みというか、一言お願いいたします。



そうですね……(笑)

私だけじゃなく、みなさんの店にしたいと思っているし、そうなので。

お店ができたら、気軽に遊びに来てください。


遠くの方も、お近くに来る機会があったらぜひ寄っていただければいいなと思いますし、

なにか新しいアイディアがあったらぜひ、ツイッターに投げてください。

どこからでも参加できる、気楽なお店として捉えていただければなと思っています。



ーー本日はどうも、ありがとうございました。





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その⑦へ、つづきます。

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