◆⑤:フルーツハードカレーと、ステンドグラスのゼリータルト◆
ーーついに完成ですね。
こちらのカレー、タイトルとかはあったりするんですか?
いちおう、<フルーツハードカレー>って名前ですね。

ーーなるほど、<フルーツハードカレー>……では、いただきます。
はい、どうぞ!
ーー……これは、なんか、食べたことない味です。
そうなんです、<どこにも属さないカレー>なんです。
ーーこれは、なんというか……「カレーじゃない食べ物だよ」って言われても、
そうなんだと思えるレベルの個性……ただ、ものすごく美味しいです。
なんだろう……美味しいです。
ありがとうございます。
味、伝えてくださいね。お願いしますほんとに。(笑)
ーーほんと、なんていうか……うまい、という。(笑)
口に入れた時はもうほんと、フルーティというか、もうこれは、トロピカルというか。
でも、そこからけっこうしっかりと辛くなってきますね。濃厚で、品のいい味だけど、
家庭的な感じもして。なんだろう……コーヒーが飲みたくなってきます。
あー、持って来ればよかったですね。
ーー私、趣味でスパイスカレーをつくったりもするんですけど、
これはなんだろう、たいていカレーに入れるであろうものが少ないんでしょうか……
わかるのが、トマトと玉ねぎくらいですね。ただ、カフェで食べるカレーとしての
お洒落さも感じますね。すごく美味しい。
でも、若い人には受けるけど、
年配の方には「あんまり……」って言われるのもわかる気がしません?
ーーちょっとわかるかもしれません。なんだろう……何にも似ていないので。(笑)
ジャガイモとニンジンがゴロゴロ入っている、あのカレーへの期待が強いと違和感が
あるかもしれませんね。……あと、時間が経つにつれて、すごく辛さを感じるようになってきました。
そうなんです、甘いけど、辛い。
ーーこれは、なんと言えばみなさんに伝わるだろう……(笑)非常に、言葉にしづらい。
ただ、癖になるというか、これが食べたくなって、目覚める朝がありそうです。
あー、嬉しいなぁ。友達も癖になってくれるみたいで、
フルーツハードカレー食べたいって、言ってくれるんです。
ーー「カレーが食べたい」じゃなくて、「フルーツハードカレーが食べたい」という
感じでしょうね。なんか、わかります。あと、アレンジしていっても美味しそうです。
あー。トッピングはいろいろと。
焼きトマトのマリネとか、トッピングで入れたら美味しかったです!
ーー個人的には、刻んだオリーブとか、さらに甘くする方向で、あんことか入れても
美味しそうです。(笑)辛い方なら、ハバネロとか切って入れてみたりとか。
あとはもう、チーズを入れたり、トーストに塗って焼いても美味しそうです。
なにげに、梅干しとかも合うと思うんです。(笑)
ーー何が入ってるんだろう、って答えを探しているうちに、食べ終わってしまいますね。
けっこうみんなそうですね、イベントとかでも。
「これ、何入ってるんだろう……」って言いいながら食べてて終わっちゃう、みたいな。
で、教えなーい、みたいな。(笑)
ーーいや、これは本当に、私も食べることは好きで、人並み以上くらいには色々と
食べてきたとは思うんですが、これは間違いなく美味しいです。
本当に、コーヒーが飲みたくなる。(笑)ごちそうさまでした。
はい。それでは、ケーキの準備しますね。

ーーすごく見た目が鮮やかで、綺麗ですね。こちらのケーキのタイトルは?
<ステンドグラスのゼリータルト>です。
ーー切って、光に透かしてみるとよくわかるのですが、本物のステンドグラスのように
上に描かれた絵の色が、ゼリーを通って降りてきていて、すごく綺麗です。
そのゼリーを入れて、固めて、
絵を描いたりするのに、かなり手間取りました。
ーーそれでは、いただきます。……うん。これは。ものすごく美味しいです。(笑)
あー、ありがとうございます!(笑)
ーーこの味は、なにかフルーツが入っているんでしょうか……?
味は、レモンティーベースで、レモンが強めですね。
ーーなるほど。言われてみれば、レモンティー……本当に、不思議なスイーツですね。
ゼリーとタルトの部分が、ちゃんと一緒に食べて美味しい。見た目もすごく印象的です
けど、味わいや食感まで、しっかり計算されている感じがします。
やっぱり、どっちかに偏ったら、面白くないと思うんですよ。
味にこだわって、それプラス、見て楽しければいいな、っていうのが。
奇抜さだけを追っちゃうと、味がついてこなくなるんで、そこは気をつけています。
ーーこれは、どういうきっかけでつくってみようと……?
そうですね。友達と喫茶店でこう、まぁ、お茶をしていたわけですよ。
そして何気なくふっと横を見た時に、ステンドグラスのランプが置いてあったんです。
それが綺麗だなと思って、こういうケーキを作りたいな、と思ったんです。
なんか、味があっていいなって。純喫茶みたいなところで、昔ながらの雰囲気の。
ーー確かに……最初に見たときは、奇抜だなと思ったんですが、見ていると、どこか
懐かしい感じがするんですよね。色合いだったり、ステンドグラスそのものに対しての
印象もあるかもしれません。いつもそうやって、コンセプトからつくられるんでしょうか?
そうですね。「こういうケーキ作りたい」がまず先で、
そこから、どういう材料使うかとか、どういう行程で作るかとか、
そこへ至るプロセスを後から、きちんと組み立てていくという。
ーーケーキを食べる時は何かをお祝いする時が多いので、味が美味しいというだけでなく、こういうふうに場を盛り上げてくれそうなケーキがあると、すごく嬉しいですね。

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