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「マイノリティと非マイノリティが相互理解できるCafe」で食べる、タルトの味は。④

更新日:2018年5月22日


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前回までの記事は、こちら。


①:はじめてもらったメッセージ

②:喜んでくれる人がいる

③:支えられ、励まされ、託されている



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◆④:理解してもらうこと、意見を聞くこと、頼ること◆


ーー飲食店経営を成功させるにあたっての、

武器となるような和泉さんのご経験は、どんなことがありますか?



飲食業は初めてですが、企業で勤めていた時は販売でマネジメントをしていました。

目先の目標じゃなくて、そのずっと先の目標につながる判断をすることや、

無駄を削って利益を出すっていうことなど、色々と大きな判断を、

組織の中で経験してきたと自負しています。



ーーその経験から得た学びの中で、もっとも大きなことはどんなことでしょうか?



<みんなに理解をしてもらうこと>の大事さですね。

例えば、必要だからといって、構造改革的なことをしても、

乱暴になってしまうと、やっぱり誰も協力してくれないし、うまくいかない。


いかに周囲と協力していくか、いかに自分の考えをうまく伝えるか。

そのためには、自分がぶれていたらだめですね。

やっぱりぶれていたら、きちんと人に説明できないじゃないですか。



ーーなるほど……では、かなり突っ込んだ質問をさせていただきますが、

社員として働いていた中で体調を崩された和泉さんが、今度は起業して飲食店経営者を

目指すというのは、以前よりも高いハードルに挑戦しているようにも感じるのですが、

それについては、いかがでしょうか。



そういう風に思われて、当然だと思います。

でも、そんな人間でもやってるっていう、

モデルケースになりたいっていう部分もあります。


……ちょっと話がずれますけど、

私、AC(アダルトチルドレン)っていう診断を去年、受けたんです。

ACって周りに迷惑をかけちゃダメだっていうのが強かったりとかする……わけですよ。


自分は一人で頑張って生きていかなきゃいかない、みたいなのが強かったりとか、

邪魔な子になっちゃいけないとかあったりとかして、

すごく……こう、なんでも一人で頑張って、

なんでも一人で解決させることが良し、みたいな部分があったんですけれども、

ほんとに、まぁ……ここにきて、もう、「頼ろう」と。


周りにちゃんと頼る……そのぶん自分ができることを、ちゃんとする。

それでいいんじゃないかと。頼られっぱなしになろう、なんて、

決して思っているわけじゃないんだから、って。

それが周りに伝わればいいんじゃないかって。



ーー飲食店経営をする中で、様々な困難があると思いますが、

様々な人と頼り合うことで解決できる、と考えておられるということでしょうか。



……そうですね、いまありがたいことに、

人が人を呼んでくれているっていうのを実感していて。


なんとなく繋がっていた方が別の方を紹介してくださって、

その方が、別の方を紹介してくださって。

ほんとうにいろんな人が、サポートを申し出てくださって。



ーーどのような方に、どんなサポートをしていただけそうなのでしょう?



そうですね、雑貨デザイナーをしている方が店舗内装デザインを。

居酒屋を立ち上げた経験のある方が、開店までの流れをサポートしてくれたり、

喫茶店経営の経験者の方が、喫茶店経営の特色を教えてくださったり。


Webに詳しい方がホームページを作ってくださったり……

それから、内装業をしている方が、配管などを見て下さる事になっています。

あと、古物商の方に、開業にあたって必要そうなものの用意について、

支援していただけるというお話をいただいていたりとか。



ーー様々な業種の方が、和泉さんの理念に共感して、支援を申し出てくださってるんですね。



すごくありがたくて、自分のやっていることはブレてないんだ、とか、

目標を達成するための自信を持つ、ってことにもなっています。

様々な方からアドバイスをいただく上でも、

「周囲の意見を柔軟に取り入れる耳を持つこと」が本当に大事だと思っています。



ーー体調面の管理については、いかがでしょうか?



私は……こう、本当にうつになって、ある日パタッと

倒れる前日まで、職場でも、周りは気づいてなかったとおもいます。

それはやっぱり、周りに迷惑をかけちゃいけない、みたいな、

そういう自分のパーソナリティの部分がかなり大きかったですね。


……休職をしても、うつっていう言葉を自分の口から

発したことがなかったですね。認めたくなかったんだと思います。

自分でもやっぱり。病気って思われたくなかった、っていう。


いまの自分は、変わったなと思います。

それはやっぱり、うつ友達ができたことがすごく、大きかったなって思います。

いま、うつ友達ネットワークに、女子4人いるんですけど。


……エプロン取っても、いいですか? うつ友達がつくってくれた服を着てきたんです。

レタルっていうアパレルブランドなんですけど。その、彼女もすこしうつの傾向があって。

同じ北海道出身だっていうのもあったりとかで、すごくいま、仲が良くて。





ーーその方も、和泉さんの理念に共感し、協力してくれているんですね。



そのうつ友達ネットワークに、調子が悪いってなると、

すぐ連絡し合うし、いいことあったよ、も連絡し合うしで。

調子が悪いってときは、「無理するな、すぐ休んで」って言い合えるし……

今までだったらやっぱり、調子が悪いって、なかなか言えなかったし。


きちんと受け止めてくれる人がいるっていう、安心感ですよね。

私、本当にもう、辛いのは自分だけじゃないんだ、と。

自分が辛いときに支えてもらったから、こんどは周りが辛かったら私が考えよう、

みたいなのができあがっているし。そういうの……大切ですね。


うつ友達がいなかったら、起業するとか、言わなかったのかもしれないなと思います。

「私たちも一緒にやるよ、手伝うよ」って、うつ友達がまず、

小さな輪の中で賛同してくれたことが、小さな自信になって。


そこからちょっとずついろんな人に賛同をいただいて、

輪が広がっていったことで、私の自信も、少しずつ

大きくなっていった、ということでしょうか。



ーーうつのご経験から、支え合うことを学び、成長できたからこそ、今回の挑戦が

仮に高いハードルだったとしても、乗り越えていけるとお感じになっておられる、

ということですね。……そういえば、物件を借りるにあたってご入籍されたと

聞いたのですが、そのうつ友達にも、ご報告されたんですか?



はい。最初は「まじか……」みたいな反応で。(笑)

うつ友達のうちの二人に、結婚の保証人になってもらいました。

……感謝しかないですね、友達には。

今まで生きてた中で、いまが周りに一番感謝してますね。



ーーうつのご経験も、ネガティブなことばかりではなかったのですね。



はい、そう思います。



ーーあ、そういえば、そろそろカレーも完成でしょうか。



たべますー?(笑) おなかすきましたよね?






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その⑤へ、つづきます。



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この記事の、目次はこちら。

①:はじめてもらったメッセージ

②:喜んでくれる人がいる

③:支えられ、励まされ、託されている

④:理解してもらうこと、意見を聞くこと、頼ること

⑤:フルーツハードカレーと、ステンドグラスのゼリータルト

⑥:Cafe メム が<閉じない>ために

⑦:取材を終えて



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