◆②:喜んでくれる人がいる◆

ーー今日はよろしくお願いします。なんだかすいません、私は座ったままで。
今日は、カフェを訪れたお客さんの気分で、取材させていただければと思います。
ぜんぜん大丈夫ですよ!(笑)
よろしくおねがいします。じゃあ、
カレー作っていっちゃいますね。
ーー早くも、いいにおいがしてきていますね。
全然まだまだです!(笑)
ーーこのカレーの、こだわりポイントや、味の秘訣はどんなところでしょうか?
ひたすらフルーツなんですけど……詳しくは秘密です。
甘いのと辛いののバランスが、ポイントですかね。
ほかでは食べられない、インド系とか、ヨーロッパ風とかでもない、
<どこにも属さないカレー>という感じです。
イベントで呼ばれてつくったときに、
「こんなカレー、食べたことない」
ってみんながすごく喜んでくれて。
ちょっと癖になる味って感じなんです。
年配の方は、もう少し普通のカレーが食べたい、
ってアンケートにあったりもしたんですけど……

ーーいろんな方に食べてもらって、研究されているんですね。
和泉さんは、やっぱりお料理がお好きなんですか?
それが私、2年前まで料理をしたことがなくって。
きっかけは、発達障害の方と仲良くなりたいな、
理解したいなと思って、そういう方がよく来られる、
イベントバーに行くようになってからで。
そこでは日替わりで誰でもバーテンダーができるシステムがあって、
自分でも1、2回やってるうちに、どうせやるならちゃんと儲けを出したいな、
きちんと売れる料理を出さないとダメだ、って、そこからですね。
最初は居酒屋っぽい料理をよくつくってたんですけど、
仲間うちの誕生日でケーキをつくったときに、スイーツって
無限の可能性があるな、楽しいな、って思うようになっていって。
ーーいろいろ料理をされてきた中で、特にスイーツが面白く感じた?
スイーツって自由になんでもできる、って思ったんです。
うつで調子悪くなって何もできなくなった時も、
スイーツづくりなら無心になれて、楽しく作業ができて。
それを人に振る舞った時に、みんなが喜んでくれて。
それが自分の存在価値とか、自己肯定につながったというか。
自分なんて何にもできないで寝てるだけだ、みたいなのが、
喜んでくれる人がいる、喜んでもらえる手段が私にはあったんだ、
って思えたのが大きかったですね。
ーー和泉さんのInstagramでは、かなり攻めたスイーツの写真を公開されてますね。
やっぱり……ちょっと変わってるんだと思います、自分自身。
誰もやったことがないこととか、うん。
それで喜んで欲しいというか、サプライズ感みたいなのとか。
ーー驚かせる、楽しませることが、スイーツだとやりやすいんでしょうか。
そうなのかもしれません。
ちょっと前に、ボードゲーム屋さんから、
「常連のお客さんにお誕生日ケーキをつくってほしい」って注文をいただいて。
「せっかくなんでボードゲームみたいなのつくれます?」
って聞かれて、ボードゲームは詳しくなかったんですけど、
「あー、わかりました!」って言って。
ーーあまり詳しくないのに、わかりました、と?(笑)
そこでちょっと、やっぱりちゃんと調べて。
どんなゲームが主流なんだとか、作れそうなのはなんだとか。
そうして、<カタン>っていうボードゲームをモチーフにした
バースデーケーキをつくったんですけど、みなさん喜んでくれて。
それは嬉しかったですね。

【ボードゲームから着想を得たバースデーケーキ。 和泉さん撮影】
ーー今日は、新作のスイーツも持ってきていただいて。すごく楽しみです。
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